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3DモデルのVRM・FBXとは?モデルを依頼する際にVTuberが気を付けるべきことは?Live cartoon社長の辻さん(cortさん)監修の下、3Dモデルについての疑問を徹底解決

藍波

以前スコマガでは、VTuber活動に必要なモデルやロゴなどの依頼方法について解説しました。

▼以前の記事はこちら▼

【超初心者向け】VTuberを始めるために必要な依頼内容を徹底解説!モデル・ロゴ・配信背景・歌ってみた関連の依頼をする時に気を付けるべきポイントとは? | 依頼 | スコマガ

この記事では、VTuber専門のモーションキャプチャースタジオの運営をはじめとする、さまざまなVTuberをサポートする事業を展開しているLiveCartoonの社長、辻さん(cortさん)監修の下、「3Dモデルの依頼」について解説していきます!

3Dモデルを入手する方法とは?

3Dモデルを入手する方法は主に「新しいキャラクター作成を依頼する」「新しいキャラクターを自作する」「既存のキャラクターを購入する(汎用モデル)」の3つです。

モデラーを探すためには、好きなモデルの雰囲気で3DデビューしているVTuberのモデラーをたどると良いでしょう。予算から探したい場合は、ココナラで探すのもおすすめです。

説明用画像1


購入・依頼方法や予算など、詳しくは以前の記事をチェックしてみてください!

▼以前の記事はこちら▼

【超初心者向け】VTuberを3Dで始めたい人必見!Live2Dと3Dの違いやモーションキャプチャ方法を徹底解説 | 配信方法 | スコマガ -好きを応援するVTuberメディア-


購入・依頼時のポイント

モデルの形式を選択しよう

3Dモデルを依頼したり購入したりする際に、「VRM」や「FBX」など、さまざまなファイル形式を目にすると思います。Live cartoonのスタジオのように、VRM形式のみの対応の場合もあるので、利用用途に応じてモデルの形式を選択しましょう。

ここからは、それぞれの形式について詳しく解説していきます。


そもそも3Dモデルの「形式」とは?

3Dモデルの「形式」とは、モデルの保存のされ方のことです。最終的な見た目が同じでも、モデルをつくったソフトや、データの書き出し方の違いによって形式が異なります。モデルの依頼時はモデラーがどの形式を作成することが可能か、購入時はどの形式のデータが入っているかをよく確認しましょう。

有名な形式には「VRM」と「FBX」があり、VTuber活動をする際は「VRM」を選択するのが一般的です。例えば、Live cartoonのスタジオでは、VRMのみに対応しています。

<VRM>

VTuberが生まれてから登場した、ニコニコ動画を運営するドワンゴ社などによるVRMコンソーシアムによってVTuberのために作られた、人の形や関節や表情を表現するのに特化した3Dモデルの形式です。

関節の数や表情の管理に制限があるため、表現の幅は定まっているものの、VTuber活動をする上では十分です。Luppetなどの自宅での3DモデルをトラッキングするためのソフトもVRMに対応しています。

<FBX>

VRMより前からある業界主流の形式です。人型のモデル以外のさまざまな3Dモデルも表現できます。ゲームエンジンのUnityでスムーズに利用できたり、VR SNSのVRChatで使用することもできます。Live cartoonのスタジオは非対応ですが、スタジオによってはこちらを要求されることがあります。

モデルの作られ方に注目しよう

VTuber活動に使用しやすいVRM形式の3Dモデルは、主にVRoidという既存の型をカスタマイズすることで、より時間をかけずに3Dモデルを作成するソフトを使用する方法と、Blender、Autodesk社の3DSなど、より古くからある3Dモデリングソフトでモデルを一から作成する(=フルスクラッチ)方法があります。VRoidで制作されたモデルの方が予算を抑えられますが、フルスクラッチではないと再現しきれないモデルもあります。

好みやこだわり、予算に合わせて、どのようにモデルが作られているかに注目して、モデルの購入・依頼を行いましょう。

3Dモデル依頼時に必要なもの

原則、モデリングを行うモデラーの指示に従いましょう。必要になる場合が多いものは、以下の2つです。

3面図

モデルの正面、横、後ろからの絵をイラストレーターに依頼しましょう。既にLive2Dでデビューしている場合は、その時と同じイラストレーターに追加で依頼するのが一般的です。また、Live2Dを用意する時に、3Dデビューを見据えて、同時に依頼しておくのも良いでしょう。

特に、Live2Dでは映らない背中のデザインや、外見だけからはわからない細かいパーツの設定、パーツの比率などを意識して、3面図の確認を行いましょう。

複雑な柄のイラスト

モデラーが再現しづらい複雑な柄などの部分は、イラストレーターに別途依頼する必要が出てくることもあります。

3Dモデル依頼時に見落としやすいポイント

モデラーに3Dモデルの制作を依頼するとき、意識しておくと良いポイントは以下の3つです。動いたときに違和感がないように、依頼や確認を行いましょう。

パーツの脱着を想定する

一般的にモデラー側は、モデルを動かす際の動作を軽くするため、パーツを一体化しようとします。例えば、本来は脱げるようにしたい上着が胴体と繋がったまま、本来は別々に脱げるようにしたい上着と靴下が同時に脱げてしまう、などの状況が考えられます。

そのため、何を脱着できるようにしたいのか、依頼時にモデラーに伝えましょう。納品後に脱着パーツを追加すると、かなり作業を後戻りさせてしまうので、すべて前もって伝えるようにしましょう。

影の動きを想定する

影をモデルの肌の表面に描き込んでしまうと、立体図形の部分が動いたときに、影だけが肌に貼り付いて動かない状態になってしまいます。特に前髪で起こりやすい現象なので、前髪に関しては、額部分に影を描かないように依頼しましょう。

足に落ちるスカートの影など、前髪ほど動きがなく、肌に描き込んでしまう方が一般的な影もあります。そのような部分に関しては、影が描き込んであるパターンと、影が描き込んでいないパターンの2つを依頼することで、さまざまな照明などの演出に対応できるようになります。

表情の動きを想定する

モデルに表情差分をつけるとき、口を閉じて、目と眉毛と口角のみ動くよう依頼しましょう。口はモーションキャプチャーで話している口の動きに合わせて動くので、元々表情差分で口が開いていると、話したときに違和感が生じてしまいます。

また、納品前にモデルの動作確認をするときに、アイシャドウが瞬きに合わせて瞼に追従するか、眼球が頭から飛び出してしまわないか、などをチェックし、モデラーにフィードバックしましょう。特に注意すべきポイントは、目を瞑ったときです。瞬きをしているときと、笑顔になったときで、同じ「目を瞑る」状態でもモデルの動きが異なるので、両方で違和感のない動きをしているか確認しましょう。

まとめ

ここまで、3DモデルでのVTuber活動の準備をする際に押さえておくと良い、3Dモデルに関する知識を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

購入・依頼時に気を付けることが多く、初心者だと想像しにくいポイントも多いと思いますが、この記事を参考に、できるだけ未然に3Dデビューの不安を解消してみましょう!

また、本記事を監修してくださった辻さんから、「初めてのモデル制作で不安がある場合は、Live cartoon公式HPのお問い合わせフォーム、もしくはTwitterのDMから聞いてくれれば相談に乗ります!」とメッセージをいただきました。何かあれば、ぜひ相談してみてください!

この記事に関わった人

藍波

藍波

執筆

VTuber知識ゼロの学生ライター。VTuber業界に精通しているluco株式会社の社員たちの監修の下、初心者目線でわからなかったことを記事にまとめ、発信している。最近はお気に入りのモデルを手に入れ、自分が配信活動することを妄想するのが趣味。

辻(cort)

辻(cort)

監修

趣味としてMMD(MikuMikuDance)を触り始め、その後数作品ほど地上波アニメシリーズのアニメーション監督やスーパーバイザーを経験。2015年に技術×IPのアプローチを開発しVTuberの雛形を作り合同会社Live cartoon設立。以降はキズナアイを始め、年間約100本のVtuber3D現場を支える。ボーカロイドIAの10周年コンサート製作やVtuber巫てんりMV制作などでクリエイター活動ものんびり再開。

夢乃ほのか

夢乃ほのか

編集・画像デザイン

ちょっぴり大人な社会人アイドルVtuber。Vtuberとしての活動の傍ら、「バーチャル社員」としてluco株式会社に勤務しており、二足のわらじでバーチャル生活をエンジョイ中。これまでのオタク人生を生かしたオタク特化の雑談配信が人気。「最推しじゃなくていい。あなたの忘れない人にしてくれませんか?」

鯨野アイカ

鯨野アイカ

編集

VTuberでもあり、株式会社lucoスタッフでもある鯨野アイカ。VTuber活動を通して得た経験を活かして、lucoから生まれた素晴らしいサービスを世の中に広げている。「配信でもlucoの仕事でもたくさんの方を笑顔にしていきたいです!」